コンフォルト前

彼女らはいるのだろうか?

28にもなって、好きな女に会えると思うと緊張でドキドキしてくるのは隣にいる優也も同じらしい。

いつもらしくなく、表情は強張り何度も深呼吸している優也の肩をポンと叩き扉を開けた。

いくつも向けられる視線の中に、彼女らを見つけた。

その時、安堵しホッとした喜びは言葉にできないぐらいの感動だった。

よかった…

と、同時に彼女らを見つめる視線にイラついた。

おまえらが見ている女は、俺の女だ。

男達に睨みをきかせながら彼女らの横に座ると、優也は隣の彼女を抱き寄せて頭部にキスする様子に呆気にとられた。

愛情を示すように

そして…背後の男達に牽制するように

思わず、俺の口から出たからかいの言葉に、優也は甘いセリフで返して腕の中の彼女に知らしめていた。

そのセリフはさっきまで緊張していた奴のセリフかと鼻で笑ってしまう。

優也のような甘いセリフは言えないが、あきらかに他の女に見せる態度が違うのは俺も一緒だった。

女を口説く経験なんて片手でも余るほどの経験しかない。

どうやって攻めればいいのかと悩んでいるなんて言えない。

だから、つい、余裕のある男を演じてしまう。