彼の頬から離された手は、いつの間にか彼の唇に触れていた。

唇が指先、手の甲と触れている間に、私の手を包んでいた彼の手のひらは手首から滑るように肩までおり、ブラウスのボタンに手を掛け外し始めていた。

見つめてくる瞳は艶めかしく、そんなことどうでもいいだろうって…言ってる。

今、この時を逃すと2度と…

肌蹴ていく胸元に冷んやりした空気が触れる。

それに相反して熱くなる肌を彼の冷たい手のひらが触れていく。

ゾクっして仰け反る背を押さえつけるように重なる彼の肌も熱くなっていて、首元にかかる彼の熱い吐息だけで感じてしまう。

先のわからない事に躊躇うのはよそう。

例え今だけでも…
あなたが私を求めてくれるなら

後悔なんてしない。

首筋から唇へと彼の唇が這い上がり、優しく重なる唇と同時に目を閉じていく。

私の反応を確かめながら唇をこじ開け、絡める舌先にボーと意識が薄れだすと離れていく唇。

「キスした理由を教えてほしいなら、目を開けていろ」

言われるまま、目をゆっくりと開ければ

「…ちゃんと俺を見ていろ」

素直に頷く私に

「いい子だ」

妖艶に微笑んだ彼に意識がなくなるまで堕とされていく。