声をかけられた彼が、口元だけの笑みを浮かべるだけで女性2人は頬を染めていたのに、彼の言葉に顔を真っ赤にして怒り席にも戻らずに会計を済ませ出て行ってしまった。

アァ…今も昔と変わらずに冷たくあしらったんだ。

こんな場面を何度も見てきたから、彼に声をかけるなんてできないのだ。

昔の彼が女性をふっていた言葉が脳裏によぎってくる。

『好きっていうけど俺の何を知っている?どうせ顔が好みだとかそんなことだろう⁈』

言い返せない女性達にトドメをさす最後の言葉

『君は俺のタイプじゃないよ』

冷たい表情でそう言われると女性は、涙を流したり顔を真っ赤にして退散していた。

今も似たような言葉を言われたに違いない。

彼は不機嫌そうにカウンター内にいる人物におかわりを頼むと、中にいた店員は苦笑いしていた。

そして、気まずそうに後ろに振り返り友達を探すように視線を彷徨わせていた。

私も彼の視線を追いかければ、隅の方で志乃と彼の友達が楽しそうに会話中。

やだ…志乃ったら何してるのよ。

彼に視線を戻せばチッと舌打ちしたように顔をしかめている。

私は彼と志乃達を交互に見つめハラハラして落ち着かない。