向かう先は、コンフォルト…
「……志乃ちゃん」
「そんな甘えた声を出してもダメよ。約束は守らなくっちゃ…」
いや、ねぇ、そんな事言っても酔った時の約束なんて無いようなものでしょう。
心の中でつぶやくも、志乃の勢いに何も言えないままコンフォルトについてしまった。
「いらっしゃいませ」
お店のマスターが出迎えてくれる。
志乃は、キョロキョロと五十嵐さんのお友達を探している様子に、マスターが先に気を利かして質問してくれる。
「誰かお探しですか?」
「…いえ」
ちょっとと志乃に脇腹を小突かれるが、そんなの無視だ。
いないならちょうどいい。
「カウンター空いてますか?」
「どうぞ」
ワイルドなイケメンマスターが、クスッと笑いカウンターに誘導してくれて、そのままカウンターの向こうにまわり、温かいおしぼりを手渡し、メニューを見せてくれた。
沢山のアルコールメニューが載っているけど、あまり飲めない私はビールしか頼まない。
志乃は、今だにキョロキョロしながら同じものでいいと言い落ち着かない様子。
そんなに会いたいかね…
今日は、違うお店に行けばいいのにと祈ってみる。