悩んだ挙句ふっ〜とはくと白い息が出た。

外の気温が低い事を改めて実感すると、彼の前まで歩いて行き彼女らを無視して冷たい彼の頬に手のひらを添える。

「寒かったでしょう?」

彼は、ポケットから手を出し頬に添えた私の手を包むように覆った。

その手はとても冷たいが、お酒で熱くなった体には心地よい冷たさだった。

「別に…お前のほうこそ寒くないのか?」

ぶっきらぼうに言われて、自分がコートも羽織らずに
出て来ていた事に気がついた。

髪をアップしオフショルダーのネイビーのドレスでは寒く、ブルッと身ぶるいしてしまう。すると、耳朶で揺れるエミリアブルームーンストーンのピアス。

彼は、耳朶を触り

「七色に輝いて綺麗だ」

と呟いた。

外灯や月の明るさに反応して光っているのだろう。

その時、ドンと突き飛ばされよろける体を、彼は、無表情を崩し驚いた表情で私の腰を抱きしめてくれた。

「ねぇ、なんなの?割り込んで来ないでよ。彼は私達とカラオケに行くのよ…ねぇ⁈」

そう言った彼女は五十嵐さんの肩に馴れ馴れしく触れる。

「触らないで‥私の彼氏なんだから」

すると、ケラケラ笑う彼女ら‥

「こんなお子ちゃまより私達の方がいいでしょう?」