丸一日留守にしていた部屋は冷え冷えとしている。

エアコンをいれ部屋が暖まるまでと胡座をかいた彼の膝の上で横向きにちょこんと座らされ、ベッドの上から引っ張り出した毛布に2人で包まった。

温めるってこういうことか…と感違いしていた自分が恥ずかしくて彼の顔が見れない。

「杏奈、こっち向いて‥」

俯く顎に手を添え、持ち上げるようにゆっくりと顎が上がり彼と視線が合ってしまった。

鼻先が触れそうで触れない距離にある彼の表情は、疲労が滲み出ているのに色っぽくて、私は目を彷徨わせ落ち着かない。

髪を何度も撫でながら、彼は顔中にキスをしだしてきた。

おでこ

目尻
鼻先

冷たい唇が触れる度に、ビクッと体が揺れる。

意地悪い笑みを浮かべた彼の冷たい指先がゆっくりと唇をなぞり輪郭を確かめながら囁いてきた。

「杏奈、温めてよ」

一体私にどうしろというのだ?

彼の手を握り、フーフーと温かい息を吹きかけると彼は笑いを噛み殺した声でもう一度囁いてくる。

「唇が冷たいって気づいてるか?」

彼か顎を突き出し、キスしろと催促している事にやっと気づいた私は、彼の冷たい頬に手を添え唇にそっとキスした。