はあっ?

俺とは会わないって…なんだ?

さようならって…なんなんだよ。

「おい、杏奈…俺の話を聞いてくれ…」

耳に響く通話の切れた音

再びかけ直すがつながらない。

電源を切りやがって…人の話を聞けよ。

急いで駅に向かったが彼女を見つけることができなかった。

くそっ…

そこにあったコンクリートの柱を叩いていて行き場のない感情をぶつけると、微かな可能性にかけて彼女のアパートに向かって走っていた。

その途中、ポケットの中で鳴るスマホ。

「もしもし…今お前とゆっくり話してる時間ないんだよ」

『こっちもないけど、志乃が杏奈ちゃんと連絡つかないって心配してお前と話したいって言うんだけど、どうする?』

「何か知ってるのか?」

『さぁ?直接聞いたら?』

「…」

『五十嵐さん』

「あぁ…」

『杏奈は?』

「電話でさようならって言われて切られたよ」

『‥…杏奈に何したのよ』

電話の向こうで怒りだす声に耳が痛い。

なんなんだよ…

『五十嵐さんにとって杏奈はなんなの?やりたい時にできる都合のいい女?』

「やりたいだけならあんなめんどうな女抱くかよ。好きだからに決まってるだろう…」

俺は通話口で叫んでいた。