「何に?」

「彼の隣を歩く人は私みたいな女じゃなくて、大人の綺麗な女性じゃないと似合わないって気づいたの」

「だから、何?」

志乃の口調が冷たくなっていく。

「どんなに好きでも、彼の彼女にはなれないって気づいたから、もう、五十嵐さんとは会わないって決めたの」

「…バカじゃないの。あんたがここまでバカだったなんて知らなかったわよ。自分に自信がないからって諦めるの?そうやって逃げても解決しないわよ。どうせなら五十嵐さんにこっ酷く振られてしまえばよかったのに。そうよ…彼にちゃんと杏奈の気持ちをぶつけるまで絶交だから…」

スッと立って志乃は背を伸ばした。

「心配してきてみればくだらないことで暴走して、何自己解決してるんだか⁈そんな泣き腫らした顔して会わないって言っても説得力ないからね。どうせ、五十嵐さんを忘れるにはどうしたらいいんだろうとか思ってるんでしょう」

はい…その通りです。

「忘れるよりいい思い出になる方がいいじゃない。当たって砕けてきなさい」

さて、仕事行ってこようと志乃は出て行ってしまった。

志乃の厳しい言葉が心に突き刺さる。

そうだよね…
ちゃんと好きって言って彼に振られて来よう…