指定された待ち合わせ場所

コンフォルトにやってきた。

今の私がここに来るには辛くて、近づくにつれて足取りも重くなっていた。

どうしてここかな…

ため息ひとつついて扉を開けると、いつもと変わらない賑やかな店内。

私に気づいた志乃がカウンターから手を振るから、私も胸の前で小さく手を振りながら近寄った。

「お待たせ‥」

「そんなに待ってないから大丈夫…それに急に呼び出したのは私だもん。少しぐらい待つわよ」

「そう?それならいいんだけど…」

「良いものあった?」

目ざとく志乃は、私が持っていた買い物袋を見つけてしまう。

今更、見えないように背後に隠しても遅いけど…買い物袋でどこのお店かバレてからかいのネタになるのは避けたい。

今の私は、あまりふれてほしくないから頷いて誤魔化す。

ふーんと遠目で中身を見ようとしてくるから、私は椅子に座った志乃の視界に入らないように隣の席に荷物を置いた。

そして、不満顔になる志乃を無視してマスターに声をかける。

「ビールお願いします。後、チーズの盛り合わせも…」

既に飲んでいた志乃は、空のグラスを見せておかわりを催促した。

「それで、今日はどうしたの?」