翌週も突然彼は部屋にやって来て、朝、寝たふりをしている私の唇にキスを落として帰っていく。

1人残された部屋にいるのは辛くて、クリスマス一色になった街をぶらつき、彼へのクリスマスプレゼントを選ぶ事で気を紛らわせていた。

選んでいる時は夢中になって彼の喜ぶ顔を想像してあれこれと見て回ったのに、買い終わるとイルミネーションの下を腕を組んで歩くカップルが目につき、うらやましくなる。

えっ…
うそ……

見たくない現実を見てしまった。

五十嵐さんが綺麗な女性とジュエリーショップから嬉しそうに出てきたのだ。

彼女の肩に手を添え、優しい笑みを浮かべエスコートする姿にショックを受けその場で立ち止まって後ろ姿を見送る私。

私、なにしてるんだろう?

やっぱり、そうだったんだ…ね。

あーぁ、彼女といる所を見ちゃった。

悲しいはずなのになぜだか、涙が出ない。

その代わりに自分を失笑するような笑い声が出て、手に持った紙袋の中身をのぞいて虚しさが残るだけ…

あんなに一生懸命に選んだ物なのに、もう、いらないか…

そんなつぶやきしか出てこない。

その帰り道、久しぶりに志乃から連絡が来て会う約束をした。