「杏奈、あそこにいるイケメン…昔、あんたがかっこいいって騒いでいた男じゃないの?」

カフェ&ダイニングバー
【コンフォルト】

高校時代からの親友、宮永 志乃が指をさした方向には見知った横顔が2つ並び、楽しく談笑中の様子。

私達は、カウンター席の後ろのボックス席に座っていた為、彼らには指をさしていたことは知られてないはず…

久々に見る彼は、相変わらずのイケメン。ダークブラウンに染めていた髪を黒く染め、前より短くなったは髪。当時、毎朝彼と同じ駅で電車に乗り、片思いしていた相手だ。忘れるはずがない。

冷たい印象を与える切れ長の目と薄い唇が特徴的だった。

告白する勇気もなく、ただ同じ車両に乗り見つめているだけで嬉しかった昔の私。

彼の横にいる男性は、私の実家の近所に住んでいた人だが、名前も年齢も知らない。

ただ、知っているのは彼とは同級生だという事だけ…

「……うん。彼だね…同じ電車に乗ることがなくなってからもう会えないと思っていたけど…相変わらず、かっこいい」

「杏奈、目がハートになってるわよ」

ニヤッと笑いからかう志乃を睨んでも凄みはないようで、彼女は私の頬を突っついてくる。