そう言い残して僕は扉を開いてモモの部屋を出た。
 モモの家を後にした僕は家に帰るため河川敷を歩きながらさっきの演技が適正だったか考える。
 話の流れ的にあそこまで謝るほどのことをしていないと思うがかなり怒っていたのも事実だ。
 いき過ぎた感じもするが最善の手だったのではないかと思う。
「それにしても話を聞いてないだけであれほど怒るとはモモも意外に短気だな。次モモと話すときがあったらぼーっとしないように気を付けよう」
「おぬしは女心というものがわかってないのう」
僕の独り言に普通の狐サイズの白く肌触りが良さようなふさふさの毛を身に纏った九尾の狐が話しかけて来る。
切れ長で大きな瞳からはどこか気高さを感じる。
名前は白狐。
訳があって僕と生活している狐の妖だ。
「盗み見とは感心しないな」
「言ったであろう。おぬしが死ぬまでどんな生き様を残すのかを見届けさせてもらうと」
「部屋の中でさえも監視されるのか。プライバシーもあったものじゃないな」
「まあ、そう言うな。常に監視されていると言うことはおぬしに危険が迫っても我に助けてもらえるということじゃ。ボディーガードだと思ったらよかろう」
「物は言いようだな。」
呆れて言葉も出ない。
「それより俺のことをずっと見てたってことは入れ替わったところも見てたんだよな」
「無論、見ておった」
「入れ替わりについてどう考える」
「あの娘による怪異なのか、妖の仕業なのか、あるいは人間によるものなのか。現時点では何とも言えんな」
「だよなー。もう少し様子を見るしかないか」