オレンジ色の淡い光りを燈した三日月が

にっこりと笑っていた。



「“Smileベーカリー”のクロワッサン食べたくなっちゃったなぁ」



なんだか…

こぉやって

ぼんやりと空を見上げるのも

忘れていたコトの一つだったなぁ。



鷹里博士と出会える前…。



あたしは
大切な色んなモノを

忘れかけてしまっていた。



例えば笑顔。



過ごしていた日常が
あまりにも忙しスギて

休むコトさえ拒んで

心に ゆとりなんて持てなかった。



心が疲れていると
なんだか体もだるくて…

さらに元気なんて
出せないんだよね…。



高校生最後の
体育保健の課題授業で

自分でテーマを決めて

レポートを仕上げなくちゃいけなかった時。



そおいえば
あたしは

心と体の繋がりをテーマにして

アロマテラピーなどの効果について調べてたっけ。



本当に疲れ切ってる時こそ“癒し”は必要なハズだけど

そんな時は

その癒しを見つけるコトすら手一杯で

難しいモノなんだよね。



そんな風に
疲れきってしまう前に

食い止め作戦に出ないといけないんだけど。



まだ まだ
未熟だからかな??



そんな器用に
できなかったんだ…。



気付けば
泣くコトすら忘れてて


まるで

感情そのものを無くしてしまった

ただの人形みたいだった。



ふと見上げた空に
浮かぶ雲の形を

なにかに見立ててみたり。



季節によって

歩道を彩る木々の移り変わりや

小さくても
一生懸命に咲いてる花から

元気を貰ったりしていたのに…。



何もかもが

見えなくなってしまうものなのね。



ただ

流れに身を任せる生活。



太陽の光りに
慌ただしく起こされて

あいさつできずに
お布団に包まれながら

もぉちょっと
もぉちょっとを繰り返す。



慌てて駆け出す毎日も
仕事を終えて帰れば

もぉ
おやすみの時間。