「たくさん食べて大きくなりなさいっ」



あたしの通わせてもらっているバイト先の奥さんは・とっても猫好きなの。



お店で売り残ったパンは・本当は廃棄処分しなきゃいけない約束になってるらしいんだけど

この子たちの話しをしたら

猫ちゃんたちダケに あげるってコトで

いつも頂いちゃってるんだ。



どーしても
お腹がすいて

すいて すいて 仕方ない時だけ…



お金も無くて
どーしようもナィ時にだけ

鷹里博士と
こっそり内緒で頂いちゃったりもしてるんだけど。



優しい奥さんの旦那さんが心を込めて

丹念に焼き上げるパンは
いつでも おいしくて

冷めてしまっても

味と香と食感が
抜群なままなの。



だから
この子たちも

いつも
おいしそうに食べてるから


あたしは
通じる訳なんかナイのに

自慢しちゃうんだ。



「このパンには…たくさんの愛情が練り込まれてて…さらに愛を込めて焼かれてるんだよ」



相変わらず子猫たちは
夕食に夢中だけど続ける。



「そんな・愛情たっぷりなパンを…今度は 奥さんや・あたしが愛情を込めて…お客さんたちへと届けるのよ」



一足先に
満腹になったのか

じゃれついてきた
キャンディーの頭を撫でながら



「あなたたちみたく…このパンを食べた人たちは…みんな・幸せ笑顔になっちゃうんだから」



って
得意げにゆってみる。



「そんな…人に小さな幸せを届ける手伝いをしてるのよ。それって…とっても素敵なコトだと想わない??」



答えるかの様に聞こえてきたのは・小さな泣き声。



口の周りについたパンクズを

舌でなめ回しながらのそれは

きっと…



『うん!!それって…とっても とーっても素敵なコトだね』



ってゆってくれてる様な気がした。



そうだ!!
今度は鷹里博士に

動物と会話ができる様になっちゃう道具を提案してみよう。



お菓子のコト以外だし

きっとイィ案だって誉めてもらえそうだもんっ。