SweetTimeSlip...

膨れっ面を決め込んでいるあたしに

博士は
最終手段を使ってきた。



「取って来たら…ご褒美に・ケーキでも食べようかと想っていたのになぁ…。そぉか…美月が行きたく無いと言うなら…仕方ないな。そのまま…帰ってくれても構わないんだぞ??」



駄目押しに
もう一声。



「あーあっ…。せっかく美月の大好きな“S-S-B”の“いちごタルト”なのになぁ」



S-S-Bとは

“Strawberry-Star-Rabbit”

ってゆう



とぉぉぉっても おいしくて

それでいて

とぉぉぉっても 可愛いコトで有名な

ケーキ屋さんの略。



サクサクな生地の上に

これでもかってくらい
たっぷり入れられたカスタードクリーム。



それを彩る鮮やかな甘酸っぱい真っ赤かな いちご。



どこを取っても
文句なしの最高品。



「食べたく無いのか??」



鷹里博士の目に
意地悪な光りが宿る



「あぁっ!!もぉっ!!いっ…行きますー!!取ってくればイイんでしょーぉ?!」



くぅぅぅ…。



鷹里めっ!!



心の中でのみの
小さな反抗。



「絶対 博士のイチゴ一個もらってやるんだからっ!!」



これまた
小さな決意を胸に



半泣きになりながら
2階に有る倉庫へ向かう。



「ひっつれぇ〜しまぁーすっ」



誰も居る訳なんか無いって分かってるケド…

一応
あいさつは欠かさずに。



「けほっ…。ほこり臭っっっ」



まずは
明かりの確保が一番!!



鼻を摘みながら

ポチっと
電気のスイッチを押す。



「うぁーっ。ほこりがキラキラしちゃってる…。って」



そんなコトよりも

早く“赤い羽”を探さなくちゃ。



イチゴのタルトが
あたしを待ってるんだから。



それにしても…



目の前に広がるのは
膨大なガラクタの山…。



そんな表現しちゃったら
博士に怒られちゃうかなっ。