『佳!!』 佳はこっちを見ていなかった。 表情を変えず、ただひたすら違うところを見るばかり。 『佳兎(けいと)。こいつを黙らせろ』 『はい、祥弥さま』 佳は俺の方へ走り、腹に1発殴ってきた。 『うっ!』 本気で入れたパンチは、吐きそうになるほどだった。 俺は上を見上げ、彼を見た。 見下すその顔。 『な、んで』 その言葉で、俺は気を失った。