ノラクロの話は難しい。何を言っているのか私にはわからなかった。
〝あぁ、僕って説明下手なんだよね。ご主人みたいにもっとうまく説明できたらいいのに。〟
首を傾げたままの私を見てノラクロは右の前足で頭を抑える仕草をしながら呟いた。
そして、閃いたように、
〝要するに、なにかしたいことはない?ってこと〟と言った。
暫くお互いに黙っていたが、何も言わない私に痺れを切らしたようにノラクロは
〝なにかしたいことない?〟
と、もう一度尋ねてきた。
「…ないよ。」
そう、これが私。ノラクロもがっかりでしょうと思った。でも、ノラクロはそう答えた私をみて〝うーん〟と、1つ頭をひねった。
〝ねぇ、ホントに無いの?…君、それ本気で言ってる?〟
ノラクロは本気で私を疑っているようだった。
「…本気だよ。」
〝そっか。なら仕方ないや、まぁ、そのうち気が変わったら僕に教えてよ。〟