駅のホームの雑踏の中、ふと見えた歩道橋。
迷わずに向く足。
何も考えていない頭。
冷たい手すりに掛かる手。
下には凄いスピードで行き来する車。
上には嫌なほど晴れ渡った空。
(あぁ、今日も空は青いな)
少し勢いをつけて斜め前にジャンプすれば、体重は手にかかって、その手で手すりを押せば身体は簡単に歩道橋の柵を乗り越えた。
地面に向かって落ちる身体、周りの景色がスローモーションのように見えて一瞬空でも飛んでいるかのような錯覚を覚えた。
強い衝撃と、次いで聞こえてきた悲鳴。ブレーキの音。
何も感じなかった。
ただ、すごく眠くて。
ゆっくりと目を閉じた。