昼休み。屋上の扉が開いていなくて、踊場でしゃがんで待っていた。

ヨウのおにぎり、ツナマヨとタラコ握ってきてあげたのに、お昼までいない気か……。

というか、わたし恥ずかしい奴かも。

中途半端なお節介しちゃったよね。

ヨウもなんで持ってくるんだヨウ。

……寒い。

「わたしは貝になりたい」

「貝になってどうすんだよ」

ヨウが扉の前に立っていた。

「うわっ。ヨウ。いつの間に!」

「いつの間にじゃねーよ」と、屋上の扉に鍵を差し込んで開けた。

「えっ?鍵なの?」

「おう。職員室にあるからさ」

「なに無断でもってきてんの?」

「仕方ねーだろ。こうでもしないと、お前が屋上入れねーんだし」

ヨウはあぐらをかいて座った。

「……鍵が浮いてるって立派な怪奇現象だよ」

「なんかポケットに入れると見えねーみたい。つうか変な顔してどうした?」