ぼっちな彼女と色魔な幽霊


「おにぎりひとつ?」

わたしはヨウに訊いと、素直に頷く。

「うん」

素直すぎて、なんか気持ち悪いけど可愛いじゃないか。

用心しながら、掛け布団から顔を出し身体を起こした。

「なんで怒ったかわかった?」

「……バカにしたから?」

「それもだけど」

「痴漢いたのに、言うの遅かったから?」

「それもだけど」

「なに?」

「まあいいや」

色々理由はあるけどヨウなりに原因を自覚してくれようとしているのが、嬉しいというかなんというか。

赦してあげてもいいか、な。

「すっきりしねーな。まだ怒ってるだろ?」

「ちょっとはね」

そう言うと、わたしの頭を優しく撫でた。

また変な顔と笑うパターンだ。

すっかり免疫ついてきた、わたし。

そう思っていたのに、ヨウはわたしを見つめたかと思うとそっと唇を重ねた。