ぼっちな彼女と色魔な幽霊


騙されてたまるか。

おにぎりなんか絶対握ってあげないわ。

お腹すいて眠れなければいいさ。

「ひな子ちゃーん」

「ひな子さーん」

あっ。呼び方変えたな。

でも、無視してやる。

「ひな」

……ひなって、呼び方悪くないかも。

そっと掛け布団を目元くらいまで下げて、横目で見る。

ベッドの真横にヨウがしゃがんでいた。

にっと笑うから、反省してないなこいつと判断し、布団をかぶる。

「ひな、ごめん」

随分素直じゃないか。でもわたし学習したんだよね。

四六時中、狼少年すぎる行為を繰り返してるからさ。

「ツナ缶買いに行ってくれて、ありがと」

だまされない。だまされない。パンチしてやりたいくらいだ。

ああ。わたし、ヨウといるとこんなに素敵に性格悪いんだな。

普段、いかに気を遣って生きてるかわかる。

ヨウはむかつくし、嫌いなとこあるけど、そういう意味でなんか楽。

ヨウって、本当はなんなんだろ?