ぼっちな彼女と色魔な幽霊


電車に乗り、最寄の駅を通過してからさらに20分ほど過ぎた。

夏の時期にしかいかなかった海を、毎年のように見過ごすようになっていたのは、いつからだろう。海水浴というものには幼い頃、親としか行ったことがなかったから、十年も前になるかもしれない。

中学生時代、焼けた肌の目立つクラスメイトとは対照的にわたしの肌は白かった。

目的の駅が近くなると、入江が見えた。

電車をおりて、どちらに向かえばいいのわからず、海沿いの道を歩いた。

ヨウは訊く。

「海で泳ぐ?」

「泳ぐわけないでしょうが。こんな時期に。しかも制服」

「でも海って泳ぐか釣りくらいかすることねーよなー」

「砂浜があるじゃん。山を作って棒倒しするとか、二人の名前とかLOVEとか書いたりさ」

「砂浜に名前とか書いて楽しいか?」

「雰囲気が大事なの。まあ海っていうシチュエーションだけで楽しいはずだよ。少なくとも脳彼とはね」

「はっ。略せばいいと思いやがって。便利な脳みそだなー。ひな子」

嫌みを聞き流し、釣りの餌と書かれた古いお店の前を過ぎた頃、昔の記憶がよみがえってきたのか、懐かしい気持ちになった。

わたしはたぶんここに来たことがある。