急に消えるし、なんなのさ。
学校に着いて鞄をあける。
今日も文庫本を取り出したけど、去年映画化された高校生の恋愛小説だったりする。二嶋くんは、もう少しでくるかな。
心のどこかに楽しみな感じがあり、隠せない。こうして選ぶ本にも反映されてる。
ガタッと椅子をひく音がした。二嶋くんだ。
ちらりと横目で見ると、気付いてくれた。
「おはよう」
「おっ……おはよう」
挨拶してくれた。奇跡。
「……」
「……」
あ。ダメだ。わたしから言わないと、貸す本のこと。
言わないと、本のこと。なのに、口から出てこない。
「あっ……もしかして昨日の」と、訴える視線にまたもや気づいてくれたのか、二嶋くんは言った。
「うっ……うん。そう。本のことなんだけど、どういう本がいいかやっぱりわからなくて……もし時間あるなら、一緒に図書室で選ぶとかどうかなーなんて思ったんだけど」
言いながら、なんて大胆なことを言ってるんだろうと背筋が寒くなってきた。
そもそもヨウのアドバイスを真に受けていいような立場じゃないのに。



