ぼっちな彼女と色魔な幽霊


「やり残し?」

「例えば彼女つくりたかったとか、友達とどこか行きたいとことかあったとか」

わたしが今死んだら、高校生活をやり直したいと化けてでそうで不安だ。

友達づくりから、とか。

いや、逆に諦めつけるくらい、今の人間関係は軽薄すぎて成仏できるかもしれないけど。

じーっと、ヨウはわたしを見る。

「もしかして俺もお前みたいな奴だったのかな?」

「はっ?」

「友達いなくて彼女もいなくてクラスメイトからは空気扱いで、仕方なく毎日絵を描いていたら、急に死んじゃって人生やり残したことでいっぱいだった」

わたしは、こいつから、そう見えてるわけなのか。

「だから、俺と波長のあうお前しか俺が見えない」

そしてはっとしたような顔をした。

「もしかして、お前を通して高校生活やり直せばいいのか?」

想像もしていない提案に、身を固くした。

「……へっ?」

「ひな公に彼氏や友達ができたりしたら、俺が成仏できるってことだよ。乗り移って疑似体験」

「の……乗り移るって!それだけは絶対無理!」

「俺もひな子じゃ彼氏つくるの難しそうで嫌だけどな」

わたしはヨウを無言で睨む。

「まあ安心しろ。それはする気ねーから。
まあまずひな公が高校生活謳歌している姿に自己投影して満足できたら成仏するかもしれないもんな。
お前、高校デビューしろよ」

「はあっ?」

デビューって初っぱなから、躓いてるし。今更感半端ない。

「友達つくって、彼氏つくって、楽しめよ。俺を満足させるよう、変われ」

もちろんわたしに決定権はないけど、命令をうけただけで変われる程単純じゃない。