ぼっちな彼女と色魔な幽霊


「すみません!」

悪いことをしたみたいな気分にかられ、思わず謝ってしまった。

そこにいたのは、都市伝説の話を教えてくれた部長と呼ばれた女の子だった。

眉間にしわを寄せて、迷惑そうな顔でわたしを見た。

「びっくりした。何してるの? まさかさっき言った絵探してたとかじゃないよね?」

「そんなことしてませ……」と言いかけるとヨウが「この絵、知ってるか聞け」と命令した。

「……ん。ええまったくもってそんなことは、してないんですけど。あのこの人魚姫の絵って誰が描いたかわかりますか?」

「人魚の絵?」とメガネをかけているのに目をこらし、「知らない。初めて見た」とそっけなく言うから、ますます気まずくなった。

部長さんは片足が重そうな歩き方で、何か取りに来たのかキャビネットへ向かった。

ヨウはもう興味を失くしたのか、帰るかと歩き出した。

「えっ? 嘘っ? なんで?」

部長さんが目の前にいるから、持っていくなんてこと出来るわけがなく、絵を元の場所に戻した。

なんて自分勝手な男!

幽霊になると気遣いというものを忘れるのか。

いやそもそもそんなのあいつは持ち合わせていないのかもしれない。