「行くぞ」と、わたしに有無を言わさないみたいに、教室を出ようとする。
「ていうか成仏したんじゃないの?」
「してねーよ。勝手に殺すな」
「怒ってなかったのか」
「お前の寝言なんかに機嫌悪くするかよ」
「つうか行くって、どこ行くの?」
「美術室に決まってるだろ」
「えっ?」
「お前が、俺の頼んだことを何もしてくれねーから、お仕置きだ」
お仕置き。胸キュンしない。それもそのはず無駄にイケメンな幽霊に言われているから。
「帰る」
「お前に決定権はないの忘れた?」
「うっ……」
幽霊に脅されたら、わたし、屈服するしかできない。



