ぼっちな彼女と色魔な幽霊


わたし、幽霊に何キレてるんだろう。

教室に戻り、段々と冷静さを取り戻すと恥ずかしくなる。

色魔なんてあんまり発言する人見ないから、ピンとこなくてあんな反応になるのもわかる気もするし。

さすがのあいつも意味わかんねーとか言って、呆れて化けて出てこないだろう。

痛い人間だと思われただろうな。

でも生きてる人間は、色々忙しいのさと自分に言い聞かせた。



放課後、教室でひとり残りの日誌を書いていると、二嶋くんがきた。

前の席に横向きで座ると、わたしに身体を向けた。

「かめちゃんに、朝来なかったから、お前が日誌出しに来いと言われたんだけど。あとどんくらい?」と、覗き込む。それだけで手汗が出る。

「んっと、六時間目の授業の記入と早退のとことか…… 」

「俺、何もしてないね」

「ううん。号令やってくれたから助かったよ」

「言うだけだから。ごめんね。殆どやらせて、気づいたらやってくれてたから」

良かった。わたしが気持ち悪くて避けていたわけじゃなかったんだ。

ほっとする。わたしだったらあんなの見ちゃったら話しかけるのも恐い。

二嶋くんはきっと天使だ。心が広い。

ニマニマするのをどうにか耐えた。