食べ終わったら、すぐ教室に戻ろう。そう決意するとヨウは急に笑い出す。
「なによ?」
「いや食いっぷりすげーなと思って」
誰がそうさせているんだと、無言でにらみ返す。
「あんたさぁ」
聞かない振り、知らない振りに徹しよう。
「……学校、楽しい?」
「……」
「……」
「なんでそんなこと訊くの?」
「……友達いなそうだから」
ヨウのあっさりとした返答に、心がズキリとした。
今日、全然いなかったじゃない。いつの間に見てたの?と、訊きたくなるのをこらえると、ふつふつとした怒りがわいてきた。
人の気も知らないで、偉そうに。
「あんたみたいな幽霊に同情されたくない」
そう言い切って、残りのご飯をかきこんでお弁当に蓋をした。
「同情なんかしてねーよ。なんで同情する必要があんの?自分がそうしてるだけだろ」
その一言にカチンときて、わたしは気がつけば語気を強めて叫ぶように言っていた。
「……幽霊になにがわかる!
ええ……ええ……ええっ。ヨウなんて、きっと生前は色魔で無神経で、それでもきっときっとモテてたんでしょうね。
友達や恋人がいたんでしょうね。
そんな人に、わたしのこと判断してわかってなんかほしくない!」
「なんだよ色魔って?」と、バカにしたように笑うから、
「もういい!」と、ヨウを置いて、出て行った。



