ぼっちな彼女と色魔な幽霊


学校で変なことされたら溜まったもんじゃないと、命令通りにお弁当を持って西校舎の屋上に向かった。

確か屋上は立ち入り禁止のはずだから、入れるわけがないのだけど。

階段のいちばん上の踊場。引き戸に手をかけると、すっと開くから驚いた。

「えっ?」

先生、不用心すぎ。

だけど入っちゃ行けないところに入るのってなんかドキドキする。

一歩足を踏み込み左右を見渡す。誰もいないことを確認して、後ろ手で扉を閉めた。

……どこにいるんだ。呼び出しておいて。

「ヨウ?」と小声で呼びかけると、「おい」と声をかけられ、わたしは退けぞった。

「ぎゃっ」

「ぎゃっじゃねーよ。腹減った」と、偉そうに腕組みをしている。

「腹減ったって、これわたしのお弁当……」

「おにぎりは?」

「お……おにぎり?」

「俺の分も作ってくるのが当たり前だろ」と、壁を背に座った。

「そんなの言われなきゃわかんないわよ」

「座れよ」と、言うから逃げ出したい気持ちを押さえて、一人分あけて座った。

アスファルトの熱がじんわりとお尻に温度を伝える。