数曲、歌い終わった頃だった。
スナック菓子に手を伸ばそうとしたら、ヨウの手とぶつかりそうになり、慌てて引っ込めた。
肘でコップを倒してしまいテーブルから床までメロンソーダが広がっていく。
何やってんの、恥ずかしい。
「ごめんなさい」
隣にいた遠矢くんがお絞りや紙ナプキンをテーブルから集め半分わたしにも渡して拭く。
「意識すんなよな。気持ち悪い」
ぼそっとヨウが呟いて、わたしは手を止めてしまった。
顔をあげると、やっと目があったけど、蔑んだよな視線に、悲しくなる。
「つうか俺、もう帰る」と言うけど、たぶんわたしが気分を害したせいだ。
今日はヨウが主役のはずなのに。
いたたまれなくなり、「わたしが帰るね」と言って、遠矢くんにお金を渡すと、一目散にカラオケから逃げ出した。



