ぼっちな彼女と色魔な幽霊


「はぁ?なんで?」と、キャビネットから教科書を取り出す。

どうやら机に入りきれない置きっぱなしの教科書をここに隠していたみたいだ。

「じゃないと宮崎先生にチクる。教科書の山!」とキャビネットを指差した。

「言えば」と、行こうとするから、「お願いします。お願いします。たぶんなんでもします。見せてください。どうしても見たいんです」とすがりながら何度も頭を下げた。

「……珍しい」遠矢くんは呆れたように呟いた。

「はっきり、俺にもの言うの」

パイプ椅子に勢いよく遠矢くんは座ると、頬杖をついてスマホを見る。

「はい」と、わたしに突きつけるように見せた。