図書準備室で、ひとり考えていた。
チャイムそろそろ鳴るかな。
戻らなきゃ。そう思うのに、動けない。
バタンと扉が開く。遠矢くんだった。
何やってんだこいつみたいな視線を感じたけど、わたしに声はかけない。キャビネットに向かってく。
「……あっあの」
「何?」
迷惑そうに睨まれる。
「遠矢くんって……リョウくんって人知ってる?」
「リョウって葛西領(カサイリョウ)?」
「苗字知らない……です」
「他のリョウは知らない」
「そのリョウくんとは、仲良かったの、かな?」
「まあ普通」
「写メあったら見せてくれないかな?」



