「あの……領くんは先輩のこと大事な人だったって言ってました。
名前、思い出せなかったけど、そんな感覚は残ってるみたいで」
先輩は俯く。
そのとき開けっ放しの窓から入る風が、ふわりと前髪をもて遊んで額をあらわにさせた。
先輩が慌てたようにそこを隠すから、逆にわたしの目は釘づけになってしまった。
前髪の生え際にある茶色い痣に。
見なかったことにしようと思ったのに、先輩と目があうと「見えた?」と優しく微笑むものだからつい素直に頷いてしまった。
「この痣、生まれつきなの。
ここだけじゃなくて身体の色んなところにあって、いちばん大きいのは二の腕。
肘の少し上から肩の近くまであるんだ。
おかげで半袖とか気にして着られなくなっちゃった」



