ぼっちな彼女と色魔な幽霊


「ずっと?」

「ずっと」

「あ……でもそういえば図書室で会いましたよね?」

「会ったか?」

彼は訝しげにわたしを見る。

わたし印象薄いんだろうな。この人の顔は一度見たら忘れられないというのに。

「本をあなたに落としました」

そう言うと、ピンと来たのか顔色が変わった。

「ああ。あの横着な奴か。お前、手伝おうとして仕事増やすタイプだろ?」

「……」

その通りなので何も言えない。

「丁度良かった。もう一度図書室で話した奴と会いたいと思ってたんだ。けど顔が印象に残ってなくて見つけられなかった。お前だったのか」

ちょっとひどいことを言われ気がしたけど、気を取り直す。

幽霊だと言い張るのなら、必要なのはいち早い成仏。

「……とりあえず塩もってきますか?」

「俺は、なめくじかよ」

「なんか幽霊って盛り塩とかのイメージがあるから」

「それで成仏できる気がしねーよ。逆に塩を盛ったお前をとり殺すわ」

「……笑えない」

「まあとりあえず、今わかるのは、俺が見えるのはお前しかいないってことだ」