ぼっちな彼女と色魔な幽霊


「ぎゃあああっ!」

やっぱり冷たい。

おまけに床の上に崩れ落ちて座るわたしを見て笑っている。

心も冷たい。

「生きてるように思える?」

「わかってて、やったんだ」

悔しい。こんな人?のことを一瞬でも信用したわたしが。

「なんか死んでるっぽい」

「……もしかして、あなたが噂の美術室の幽霊?」

「まああそこにいたから、そう言われても仕方ないけど。俺ってそんなに有名人?」

「なんか学校の噂みたいなので聞いたくらいなんでよくわからないですけど。
というか、なんでそんなに曖昧なんですか?自分のことなのに、さっきから」

「俺、記憶がないんだ」

「へ?」

「どうやら死んではいるみたいなんだけど。
どういう人生を過ごしてどんな人間だったのかって、全く覚えてないんだ。
いつ亡くなったのかもわからない。
だから、何が原因で成仏できないのかも知らないんだ。
気づいたらあの美術室にいて学校をさ迷ってた」