「そんなに成仏したいの?」
「はっ?そりゃそうだろ。誰かと顔合わせる度、成仏成仏言われる幽霊の身にもなってみろよ」
何も言い返せず、黙った。責められてると感じたわけじゃない。冗談だってわかっているのに、心が哀しくなった。
「……冗談。
まあいつまでもフラフラしてんのもなー。なんかやる気のないニートみたいだし」
「なにそれ」
「目的なくただボーッとしてる感じがさ。まあ成仏しなきゃならないっていうのはあるけど。
なんかそれも楽しいことじゃないし」
「目的なくったっていいじゃん!」
一緒にいてつまらないと言われた気がした。
ヨウが遠く感じる。
何も失ってはいないはずなのに、蝉を見送った抜けガラみたいだ。
ヨウはただ微笑んだだけだった。



