ぼっちな彼女と色魔な幽霊


「……甘く見てた」と、思わず呟くほどだった。美術を批評するほどの感性はわたしにはないけど、立体的に描かれていて、デッサンを描きなれているように見えたからだ。

「ひな子もなんか描けよ」と、わたしに手渡す。同じマグカップを描いたけど、明らかにわたしの絵はあどけない子供の絵みたいに、どこか幼かった。

「うわー。なかなかの画伯だな、お前」と、白々しい詠嘆の声が聞こえた。

パタンとノートを閉じた。またバカにされる要素を知られてしまった気がして、失敗したなと思った。

「あのさ、ひな子」とヨウは何か改まったみたいに呼ぶ。

「ん?」

「お前、チャリ持ってたよな?」

「うん」

「貸せ」

「乗るの? 怖いから!」

想像してみる。誰も乗っていない自転車が夜の道路を走り抜けるなんて、まぎれもない心霊現象だ。わたしだったら腰を抜かすに決まっている。