夕食も終わって、リビングで観ていたテレビにも飽きた。ヨウはまたいなくなったけど、部屋に戻って宿題に頭を悩ませていると、すっと現れた。
「うわっ。びっくりした。お帰り」
「おう」と、腰を落とす。今日もどこに行ってきたんだか。
「何してきたの?」
「走ってきた」
「はっ?」
「なんかたまに身体動かしたくなんだよな」
変な幽霊。
「わたし前から思っていたんだけど、ヨウがやっぱり美術系に見えないんだけど。運動部とか入ってそう」
「運動部? まあなんか俺も絵描きたいと思わないし、身体動かしてるほうが気持ちいいけどな」
わたしは、ノートを取り出し、「なんか描いてみてよ」とヨウに手渡した。これで実際絵が下手だったら、バカにしてやろう。そんな軽い気持ちだった。
「なんでお前に指図されなきゃいけねーんだよ」と受け取ったけど、鉛筆を握るとスケッチを始めた。迷うことない線を描く。それが繋がり、出来上がったのは、目の前にあったマグカップ。



