ぼっちな彼女と色魔な幽霊


「気を遣われないときのほうがいいときもあるだろ」

「そうかもしれないけど……それが良かったのか、悪かったのかとか考えるじゃん」

「良いも悪いも。ひな子達はあれだろ。お前の好きな小説で言えば第一章くらいだろ。
まだよくわからないキャラクターの気持ちなんかわかんねーだろ?
下手なこと言ったら押し付けがましく感じられるかもよ」

「押し付けがましい……」

「まあちょっとずつキャラに慣れていって、気持ちが着いてくるもんなんだから、最初から良い風な顔する必要ないってことだよ。

二嶋にああいうこと言われたから、意識しすぎ。いちばんの友達になったつもりか?単純な奴だよな。泣けるなお前」

うっ。また勝手に聞かれていた。

確かにわたしみたいに薄っぺらい人間からどう絞り出しても、気の利いた言葉なんて出てこないだろうし、そもそも気の利いたという言葉自体が、あの場面で必要だったのかさえわからない。

ならヨウの言う様に相手のことをちゃんと知ってから出る言葉が大切なことなのかな。

そう考えていると、勢いのついた二人乗りの自転車がわたしの目の前を横切って行った。

もう一歩踏み出してたらぶつかってたかもしれない。ヨウも「あっぶねーな、タコ」と悪態をついて睨む。

わたしも「二人乗り、危ないよね」と、脳内彼氏とは二人乗りするくせに、文句を言った。