ただ1人、公園に残った颯太はベンチに座ったままのんびり空を見上げる。

「ほんと、俺ってば良い人すぎ…」

悔しいくらいに雲ひとつない空は、半分だけ欠けた月が輝きを放っていた。







乃里花はマンションのエントランスまで着くと、大きく息を吐いた。

これから、どうしたら良いのか分からない。



乃里花が玄関のカギを開けて中に入ろうとしたとき、ちょうど隣の部屋のドアが開く。

「っ…」

「おぅ、、」

買い物にでも行くところだろうか、ロンTにジーンズというラフな格好をした拓登と目が合う。

日曜日の影響だろう、一瞬で場に気まずい空気が訪れる。


「じゃ、、」

「あっ」

拓登は玄関のカギをかけると、そのまま乃里花の横を通って行ってしまった。。

乃里花は咄嗟に振り向こうとしたが、どんな顔で接したら良いか分からず、下を向いたまま部屋へと入っていった。