「わっ、誰??」

一瞬だけ居留守を使おうかなと脳裏をよぎったが、その後立て続けに2回、3回とチャイムを鳴らされ、乃里花は慌ててインターフォンをとる。

ドアの向こうにいたのは悠果だった。

「さっきは変な場面に遭遇させてごめんね~。ビックリしたでしょ?」

「う、うん、まぁ…凄い、驚いた」

「あんなの日常茶飯事でさ、うちらは慣れてんだけどね…。。もし邪魔じゃなかったら入っても良い?」

「あっ、良いよ、まだ引越しの片づけ終わってなくて散らかってるけど」


あまり乗り気ではなかったが、断る理由も見つからなかったので、悠果を部屋へと招き入れた。



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「たっ…拓登さんのとこはもう良いの?」

「いーのいーの、あんな状況で家にいれるわけないじゃん。また仕切り直してくるわ」


仕切り直しって…好きな人に浮気されて悲しくないのかな?
私があんな場面目撃したら立ち直れなくなりそう…

乃里花はそんなことを思いながら、冷蔵庫に入っていたオレンジジュースを悠果に渡す。

「なんで、別れないの??」

「んー、そもそもうちらちゃんと付き合ってるわけじゃないからね。あとは…本当の拓登を知っているからかな」

「本当…の?」


その言葉につい反応してしまう。乃里花は、拓登のことを忘れようと誓ったばかりだというのに、つい拓登の話を聞きたくなってしまう。