きみを想うこと

ピピピ

目覚ましで目が覚めた。だるい体を起こし時計を見る。
まだ余裕がありのろのろと準備を始めた。





支度を終え家を出た。伊織は今日寝坊したから私は先に行くことになった。
伊織の寝坊はいつまでも直らない。
そんなとこも伊織らしくていいんだけどね。

1人で行くの久しぶりな気がする。9月ってこともあってそろそろ秋を感じるなぁ。なんて空を見上げながら思った。


そしてふと、浩斗くんが頭をよぎった。
昨日の出来事が本当に嬉しくて忘れられない。

浩斗くんは何組なんだろう、浩斗くんはどんな人なんだろう、浩斗くんは私のことどう思ってるんだろう、って思う。

分からない事が多すぎてたくさん知りたいってのが本音。

また会えるかな、なんて。会いたいなって。
会えたらきっと恥ずかしくて話せなくなるだろうけど。

そんなことを思いながら電車に乗ってたんだけど、急に揺れて私はバランスを崩していろんな人に押し潰されそうになる。

そしたら、私の目の前から声が聞こえてきた。

「大丈夫……?」

そう。目の前にいたのは、浩斗くんだった。

私をいろんな人たちから守ってくれるかのように覆いかぶさってくれて、嬉しかったけど近距離すぎて目を合わせられなかったから、コクリと頷いた。

なんか階段で助けてくれたようにまた助けてもらって運ありすぎるよ。ていうか使い果たしてるよ。


「よかった。もうすぐやから我慢しててな。」

浩斗くんはそう言った。
ドキドキしすぎて聞こえないか不安だったけど案の定電車の音でかき消されてよかった。






やっとあのきつい電車から逃れられた。
この駅から学校までは歩いて15分くらいだ。

「……なー、学校まで一緒にいかへん?嫌ならええんやけどな」

私もそう思っていたから嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

「いいです……!」

「なんで敬語なん、同い年やん。タメでいこーや」

昨日から浩斗くんに対して敬語だった気がしたし、年上かと思ってたけど、浩斗くんはタメってわかってた。

「え、と、同い年?!」

「やろ?リボンの色同じやん?」

「あ……そうだった……」

そう、私の学校は学年ごとにリボンとネクタイで色が違うんだ。

「アホちゃう?」

浩斗くんはそんな私にそう言ってきて、一緒に微笑んだ。
なんか楽しくて仕方がない。

「浩斗くんって、何組なの?」

「俺な転校してきたばっかりで、クラス決まってないねん」

浩斗くん転校してきたんだ。

「あれ、でも友達……」

「あぁ昨日の人達やな?あいつら中学の同級生で丁度ここに来たら、おってな」

ちゃんと話してくれて私はだんだんと浩斗くんのことをわかってきた気がする。

「俺のこと浩斗でええよ。葉月でええ?」

「…うんっ!浩斗呼び頑張る!」

「何頑張んねん。改めてよろしくな」

嬉しすぎて自分でも何言ってるかわかんなかったけど、楽しくて仕方がなかった。

もうすこしで学校着いちゃう。
もし同じクラスじゃなかったら、もう話せなくなるかもしれない。

浩斗はため息をついた。

「俺何組なるんかな、葉月と一緒がええな。一緒おって楽しいし楽だし」

と、浩斗は言った。サラッと嬉しいことを言われて真っ赤になった。
でも気づかれたくなくて下を向いてしまった。

「葉月、どしたん?」

下を向いたことで浩斗は若干屈んでのぞきこんできた。

「……ん、と、いや…私もっ、浩斗と同じクラスがいいなっ」

これでカバーできたけど、本当に一緒になったとしたら緊張しすぎてしまうかもしれない。

「ほんま?嬉しいわ。
ていうか、学校着いたな。俺職員室行かなあかんからここでバイバイやわ」

楽しかった時間はあっという間に終わって昇降口でそう言われた。

「うん。じゃあ、また!」

「ん。またな」

浩斗は私に手を振ると下駄箱に行き職員室に向かった。
なんか、この流れから行くと本当にカップルみたいだ。

他の生徒も居るから恥ずかしくなって私は急いで教室に向かった。