きみを想うこと

私の教室は上の方だから長い長い階段を降りなきゃいけなかった。

色んなことを考えながら階段を進んでいると、つまづきそうになったが、バランスがとれずそのまま落ちてしまった。

「きゃ…」

案の定そこまで高くなかったので尻餅を付いて終わった。
しかもその場に人の気配が無かったのであんまり恥ずかしくなかった。

立ち上がろうとした瞬間に目の前に陰が出来た。

「……………大丈夫?」

上の方から声が降ってきて誰かの手が目の前にあった。

「立てる?」

反応がない私に話しかけてくるこの人。
私はゆっくり顔を上げその手を掴んで立った。

「だい…じょぶ……です。ありがとうございます」

目の前にいたのは絶対170後半はあるであろう男子生徒が居た。
初対面のような気がした。
顔は結構整ってる人だった。

「よかった。足怪我してないん?保健室行く?」

最初は気づかなかったけど、この人関西弁だ……。
関わったことないからちょっと怖かったけど、笑ってくれたりして優しそうな人だった。

「大丈夫です!平気です!!…私っ、用事あるのでっ!また!」

後から恥ずかしさが増してせっかく助けて?もらったのに、私から去ってしまった。
私馬鹿だ……
ため息をつき、ようやく下駄箱に着いた。

そしたら下駄箱に伊織と友達が数人先に居たので声をかけた。

「伊織!ごめん、階段踏み外しちゃって……遅くなっちゃった!」

「……ええ!大丈夫なの??!!歩ける?」

伊織は私の顔を見て心配そうに近付いてきた。
私は大丈夫だよ!と伝えた。
それと同時に後ろから声が聞こえた。

「あっ……おった」

振り向くとそこにはさっき階段で助けてくれたさっきの人だった。少し息を切らしてた。私を見つけに来てくれたのかな。

「あっ、どうも!」

私は少しお辞儀をして、表情でどうしたのか尋ねた。

「名前……聞かへんかったから、教えてくれへん?」

その人は私に名前を聞いてきた。吃驚した。あっちは別に驚いてるわけでもなく冷静で、私は勝手にこれは運命なのだと思った。

「野井葉月、って言います、あなたは?」

「園田浩斗、ありがとう」

名前だけを告げるとお礼を言いそこから走って去っていった。
園田浩斗……
とてもかっこいい名前だ。

完全に2人の空気だったけど、実際はここに伊織と数人友達が居た。

伊織は微笑むと私に聞いてきた。

「あの人、誰?!」

別にやましいこともないし私は正直に答える。

「階段で助けてくれた人!関西の人なんだよ!!珍しいよねっ」

「かっこよかったね。運命の出会いなんじゃない?葉月とお似合いだよ?」

あんなに伊織は私が誰かと付き合うの反対してたのにこうやって言ってくる。
でもわかってる。多分その人だったからなのかなって思った。

「かっこよかったなぁ〜」

2人で話してると周りにいた友達が口を挟んできた。
しかも今思ったけど、伊織の友達って男の子だったの?!しかもチャラチャラ系。

私には到底合わない人たちだ。

「浩斗、あの様子じゃ君に惚れてるね。浩斗もてるし付き合うなら今のうちだよ」

と、教えてくれた。
私に……惚れてる?!!!嘘でしょ?!でも浩斗くんと仲良い友達が言ってるんだから嘘ではないはずだ。

でも私…好きとかそんなんじゃなくてただ助けて貰って感謝してるっていうか。

私の頬は見る見るうちに真っ赤になった。

「まぁいいじゃんいいじゃん。今すぐ決めろって訳じゃないしさ。パーっとカラオケ行こ!」

その空気を伊織は変えてくれて、みんなで学校をあとにした。