「…来たんだ」


扉を開けると、アイツが立っていた。


「ひどいなぁ〜! ちゃんと約束は守るから」


ニカッと笑うその顔に、ウソ偽りはなさそう。


「…で? 今日はどこへ?」


「冷めてるねー。まずはさ、今日のコーデどう? とか、私服の岡田くんってカッコいいね…!、とか言わないの?」


「残念ながら、私はそこまで人間出来てないし、ゴマすりもしない」


ふーん、と言って何やら考え始めた岡田嶺人。


ま、どうせくだらないこと考えてるんだろうけど。


「よし決めた! オレさ、今日は楓ちゃんを褒めまくる!」


「は? 褒めまくる? 何で、っていうか、楓ちゃんとか勝手に呼ばないで? しかもいつの間にか隣にいるし」