目があった。


艶やかな黒髪に目鼻立ちがしっかりした…いわゆるイケメン。


普通の女の子なら、こんなシチュエーション、すっごくドキドキして、恋の予感…♡ とか思うんだろうけど、私は違う。


もう騙されないんだから。


「えっと…。ちょっと雨やどりを」


「そっか。いきなり降り出したもんね」


「はい…」


爽やかな笑顔をこぼす彼。でも、私には分かる。その笑顔は仮面なんだって。


このままここにいたら、ロクなことにならない気がする。


そう思った私は、軒下を出て、駅へと向かおうとした。


「あ、ちょっと!」


「え?」


急に腕を掴まれて引き止められてしまった。