それなのに…

ちょっと美奈子が席を外した途端、側までやってきて。


挙げ句の果てには、もう一度信じてもらえないかと言ってきた。


もうさっきの怒りはおさまったので、冷静に答える。


「…もう、信じない。それが私の答え」


「それは分かってる。あんなことしておいて、こんなこと言える立場じゃねぇけどさ、オレにはお前が必要なんだ、楓。だから…」


「そんなの信じられるわけないじゃない! たった1回の裏切りだから誠心誠意、謝ればなんとかなるかな?なんて思わないで⁉︎ あの傷、あの悲しみは一生忘れない!それくらい傷ついた」


冷静に、と言い聞かせてたものの、そんなこと言われたら、反論せずにはいられない。


けど、みんなに迷惑はかけられないので、周りには聞こえないように言った。


「……」


悪いけど、これでも優しく言ったつもりだし、接したつもり。

私が受けたものに比べれば、はるかに軽い言葉だったと思うから…