…とは言っても、やっぱりどこか前向きになれない自分がいる。


瑠夏の言うとおり、いろんな人と接することはとても大事なことだよね。


それに人付き合いってことだから、恋愛どうこう以前の問題にもなるし。


こうやって頭では理解できるけど、実際にそう動けないんだよね…。


やっぱり…あの時のキズがまだ癒えないのかも…



「…楓?」


「ん…? あ、ゴメン!」


「なんかボーッとしてたけど…大丈夫? ちょっと言い過ぎたなら…ゴメン」


「ち、違う違う! 瑠夏の言ったことは正しいから、そんな謝んないで? ただ…、まだあの時のこと、引きずってるかなーって思ってさ…」


…不思議なことに、忘れたい記憶ほど、鮮明に憶えているというのは、何かのイタズラなのかな。


消し去ってしまいたい。あんな記憶…早く抹消してしまいたい…