「そ、そうなの…?」
し、知らなかった…。でも、私には関係のない話。
「市内じゃ結構有名人だよ? 爽やか王子って」
「ふーん。そうなんだ」
「ふーんって…。別に、誰とっていうわけじゃないけど、楓はまた恋したくないの?」
「そ、そりゃあ、したくないって言ったらウソになるけど…。まだそういう気分じゃないっていうか、状態じゃないっていうか」
「ま、ゆっくり考えていけばいいんじゃない? 不思議なことに恋って、いきなりするもんだから」
「そ、そうかな?」
「もちろん、そうじゃないこともあるけど」
「…何が言いたいの?」
言葉は分かるけど、結局何が言いたいのかが見えてこない。

