カメラ越しの君に



「ねぇ、桜子。ごめんボールペン貸しっ…」


ーガラガラ―


私の声に被せるように
部屋の扉が開いた



わたしはそちらに目を向けた

そこには、男の人が立っていた


「お!おっせーよ!!!想!!」

「…想?」



そう呼ばれたその人は
ゆっくりと私達に目を向けた


華奢な体
真っ黒な髪
通った鼻筋に、綺麗な唇


それから、前髪から少し見えた黒い瞳


「…誰」

声は思っていたよりも高めだった