「先に10回ゴールした方が勝ちだよ」


体に合わない大きなボールを抱えた、眼鏡の男の子は言う。



「海翔より身長高い俺が勝つに決まってんじゃん」


ポケットに両手を入れた男の子が偉そうに言う。



「陽翔、海翔より2センチ高いだけじゃん」


ブランコに乗って揺れる少女はため息をついた。そしてつまらなさそうに呟く。



「......結局、10回も入らずに終わるんでしょ。それで同点ってことで終わる」




バスケットボールが、ゴールに弾かれた。